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  • 執筆者の写真sanyukai

奥秩父 大洞川支流 荒沢谷 2016.5.3-4


5月3日(火)曇り時々晴れ

樽沢橋ゲート5:45---荒沢橋6:40---入渓7:10---ベンガラの滝9:22---菅ノ平(幕営地)13:00

5月4日(水)晴れ 菅ノ平7:30---荒沢橋11:50/12:20---樽沢橋13:20

月明かりひとつ、星のきらめき寸分もない闇の曇り空に、焚き火の白い煙が昇っていく。

火を囲むメンバーの顔は橙色に照らされ、背後の闇に浮き上がっていた。

感じる気配はメンバーと、焚き火から生まれる火の粉と、谷を支配する水達の轟音だけだった。

音はするがそこは不思議と静寂の世界。その中に身を置いて夜を過ごすのが沢登りを始めた頃からの私の夢だった。その夢が叶う時は急に来た。

泊まりで沢登りに行く話は4月26日集会後の反省会で急遽決まった。M田さんとSちゃんと私のGWの3連休がピッタリと一致していた事が解り、3人ともそれぞれ3連休をどう過ごすのか考えあぐねていたのも、うまくすれば山行後に休みが取れるのも皆同じで嬉しくて一致団結。しかし、どこか行きたいけどGWの人混みはいただけない。ならば、沢に行こうとM田さんが計画してくださったのが今回の沢泊デビューに繋がった。

普段山に行く時、仕事から帰った遅い時間にパッキングしている時は、何となく眠くてかったるい思いをするのが、沢泊を考えながらのパッキングは何というか、心が踊っていた。しかし、心が踊っていても軽量化は考えないとならない。重いエアマットはやめて、薄い安物の銀マットにしたり、寒いのは覚悟で夏用の軽量ナイロンシュラフとシュラフカバーで乗り切るつもりでいたり。

M田さんからは、沢登りというより沢歩きだと聞いていたが幕営装備で足下が不安定な沢をきっちり歩き通す事を重点に置いて荷物は軽くした。その分、鍋の具材で豆腐は外せない。ビールも350mlを1本ではなく贅沢にも2本にした。後は芋焼酎で乗り切るつもりだった。

いよいよ遡行が始まり、最初は確かに沢歩きといってもいい感じではあったが段々そうではない渓相になってきた。M田さん曰く、最後に荒沢谷に来たのは15年程前との事。その頃と渓相、地形がかなり違っているようだ。なるほど確かに簡単とは言い難い遡行だった。危うい巻き道あり、滑りの滝あり。3人で必死に遡行してやっと幕営地の菅ノ平へ着いた。かなり早い時間に着いたので、焚き火までの時間はゆっくりと過ごす。釣り糸を垂らしたり、昼寝したり、コーヒーを飲んだり、それぞれに過ごした。信じられない位ゆっくりとした時間が流れているのに反して、この沢を突き上げる辺りの雲取山荘は登山客でごった返しているのだろうとゾッとしながらその方角の尾根を眺める。そうしているとゆっくりと静寂の夜が谷に降りてきた。3人で焚き火を囲み、炎を眺めていると普段の事を一切忘れている事が心地良かった。

子供の頃に兄と二人で勝手にやった焚き火はバレた時にえらく怒られたが、沢では火の始末さえ間違わなければ自由で、むしろ必要不可欠でもある。他にこんな楽しい山行形態は無い。もっと色々な沢を知り縦横無尽に沢を歩きたい。沢で生きたい。

今回の沢泊で更に沢登りの魅力に取り憑かれてしまったようだ





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