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  • 執筆者の写真sanyukai

奥多摩 川乗谷本谷 会山行


気づくと、今年は会山行リーダーを2回もやることになっていた訳だが、やりたい事が頭の中にあったので行き先は割と苦労なく決まった。特にそのうちの8月は盛夏だから絶対に泳ぐ沢がいいと思っていた。ひょんな事から川乗谷本谷の存在を知って調べた所、聖滝という滝の神秘的な事!「滝を突破してこの釜を見たい!」そう思って決定した。

実際、苦戦を強いられたのは聖滝だった。一段目の滝は落口からツルツル、ヌルヌル。水流が強くて足を持って行かれそうになる所を、N倉さんがフリーで突破してアブミをかけた。それにより後続は全員一段目滝に上がれたが、聖滝は一段目を上がるとすぐに二段目滝の釜が待ち構えている。二段目滝を直登で突破してもすぐに三段目の深い釜が待ち構えているという休み所が無い滝だった。二段目の滝を直登するには深い釜に浸かりながら渦巻く激流に耐えて上がらないとならない。しかし、難しそうだという事で巻く事に。一段目を上がった所の右側岩壁に新しいハンガーが二つ。そこにアブミをかけて上がろうしてもアブミから上の手がかりが全く無い。見事にツルツルだった。せめてもう一箇所上にランニングが取れれば・・・N倉さんは別の上がるポイントを試すべく一旦滝を降りてゴルジュの壁に一箇所の残置を手がかりにA0で何度か上がろうとするも、ヌメヌメ、コケコケで厳しい状態だった。私は落口の比較的浅い所でN倉さんをビレイしていたが、奥の冷たい水が注ぐ釜で待っているメンバーの顔色が悪い事に気づいた。その時「トムラウシの大量遭難」の事が頭をよぎった。夏の大雪山で低体温症によって何人か亡くなった重大な遭難事件だ。「とりあえず、この釜から一刻も早く脱出しなくては・・・」私はN倉さんのビレイを他の人に変わってもらい、右壁に掛かったアブミに足を掛けていた。岩がツルツルだろうが手が無かろうが何とか上がるんだ!たとえ落ちてもハンガーにセルフは取ってあるから死にゃあしないだろう!イチかバチか!クライミングでは有り得ない、アブミが掛かったハンガーに右足を乗せ足がかりにして、アブミから外した左足はG藤さんが下から手で支えてくれていた。どおりゃ~~~!という意気込みで膝を使ってテラス状になった所に乗り込む事ができた。そこで自分のハーネスにアブミとシュリンゲを繋いで下に垂らした。釜にいる顔色が限界そうなメンバーとN倉さんに先に上がってもらい、N倉さんは並行して更に上のヌメヌメの壁にアブミを掛けルートを開いていただいた。こうして、メンバーがヘロヘロになりながら聖滝を巻く事ができた。巻き道から見下ろす聖滝の釜が信じられない程に神秘的だった。「そうだ、これが見たかったんだ・・・」

夫婦滝の釜では水流がこんなにも岩に取り付かせてくれない事や冷たい水に浸かっている事がどれだけ体力を消耗するのかなど、とても勉強になった遡行だった。沢登りは総合格闘技みたいで面白く、私は益々沢の世界に入っていく。今回もリーダーの権限で私の行きたい沢に決めて力不足の私をサポートしてくださったN倉さん、G藤さん、メンバーの皆さん、本当に、本当に感謝します。ありがとうございました。

入渓9:00---休憩10:00/10:25---聖滝1段目11:35---聖滝2段目13:12---ランチ13:30/14:00---夫婦滝(終了点)14:28---林道にて装備解除&休憩15:00/15:40---川乗橋バス停16:0





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